NICON ニコン 刹那の料理、而今 予約困難だが訪れたい美味です【榊山牛正規取扱店巡り②】広島市中区八丁堀


広島市中区八丁堀にあるイタリア料理店「NICON(ニコン)」さんを訪れました。
おそらく、広島のグルメさんで、その名を知らない人はいない人気店だと思います。
しかし、訪れた事のある人は、限られているとも思います。
それは、広島でトップクラスの予約が取れない人気店だからです。
今回の私の訪問は、こちらのお店の常連様が特別に私の席も取ってくださって予約できました。
この場を借りて感謝申し上げます。
ちなみに、指定された時間が「入店時間」だそうで、早め入店はお控えください、との事です。
さて、おまかせコースのスタートです。


前菜
店主さん(シェフ)は「純粋に自分の料理と飲食だけを楽しみに訪れて欲しい」というお考えのようです。
なので、料理について、あまりあれこれと解説するような行為は、今回は控えたいと思います。
ビジュアルから伝わるモノってあると思うし。
あとは、訪れて、ご自分が味わうのみ!です。それだけ。


モッツァレラは、千葉の竹島さんのもの。
竹島さんのモッツァレラに、ここで再会できるとは。。。
当時、誰もが悲痛に心を傷めた、宮崎の口蹄疫。
もし自分が当事者だったら、きっと立ち上がれないと思う。
まさか、そこから立ち上がってまた再開されるとは、全く思っていなかった(思えなかった)自分は、当時もの凄く励まされたし勇気づけられた。
いきなり、その竹島さんのモッツァレラが供されたので、個人的に、凄く嬉しかった。
シェフは、目の前でボウルにフルーツやオリーブオイル、塩などを入れて、攪拌。
ぐるぐると攪拌することで、出て来る効果というのが、ある。
その一瞬を、ナイフとフォークで切り取って、私達は食べる。
店名の由来となった「而今」は、「今の一瞬」の意味。
このあとに出てくるお料理も全て、
ニコンさんのお料理は、まさしく、そんなお料理だと思いました。
例えば、上述の攪拌もそうだけれど、
作り立て、焼き立て、の、「時間と共に失われてしまう美味しさ」って、あります。
それは、例えば、浸透圧だったり、温度だったり、香りだったり、いろいろあると思う。
諸行無常、時間と共に変わらないものは無い。
今の一瞬をとらえて食べないと、失われてしまう。
そんな想いで作られているお料理なのかなぁ、と個人的には感じました。


焼き立てのパン(チャバタ)に、手作りの発酵バターを挟んで
素直な味で、とろける。身体にスーッと吸い込まれていく。
気分が、アルプスの少女ハイジになって、心が野山を駆け回っていく。
焼き立てのパンの香りや温かさって、人の心まで暖かくさせるような、DNAに訴えかけるような何かがあるよね。
私達アジア人ですら、そうなので、ヨーロッパ系の人達はもうこれでブンブンに心を揺さぶられるんじゃないかと思う。
ノスタルジック。懐かしい。
まさにイタリア料理らしいと思う。


魚介類は愛媛の藤本漁師さんの水揚げされたものだったと思います。
ここから先、冒頭に書いた理由で、詳しく書かないので、ビジュアルから感じ取って欲しい。


美味しい。ふふ。


メインディッシュの榊山牛は、ずっと放置されて、大きな塊のまま常温に戻されていた。
榊山牛は、常温になると脂が溶け始めるのだけど、その表面のトロトロ感が、写真からも伝わるんじゃないでしょうか。


真ん中に置かれた骨髄がビジュアル的なインパクトが凄い。後述します。


これが今から焼き始められ、時間をかけてじっくりと焼き上げられるのです・・・!
榊山牛ですが、先日、念願の牧場見学に訪れる事ができて、生産者さんから直に話をお聞きする事が出来て、余計にファンになってしまい、
それから、タイトルにも書いたように榊山牛正規取扱店巡りをしているのだ。
榊山牛牧場・精肉加工場の訪問レポート
 ↓↓

https://syokuki.com/archives/2955
ぜひ読んでみてね!




この榊山牛の骨髄(オッソブーコ)のフォカッチャについては、少し書かせて欲しい。
上記した榊山牛のお肉と共に、焼き始められたものが~
 ↓↓

ここで、バーン!と焼き上がったものがカウンターに出されました!
この香り!
まさに「而今」!!
鼻の孔を最大限に膨らませて、どんどんと店内の空気に溶けていく、この立ち昇る香りを吸い込まなければ!!
これでワインが飲めるぞ!!


すごいなー!と思ったのは、ここまでしっかりと焼き切っておられること。
これは勇気と確信が無いと、なかなかここまで焼き切る事ができないと思う。
昔、SNSを見てて、こだわりの手作りパン屋さんが、
大手デパートの催事でパンを売ったら、アホな客から「パンが焦げてた!」とクレームを入れられて、
デパート側がパン屋さんに全商品の廃棄を命じて、パン屋さんが「うちのパンは狙ってこの焼きにしてるんです!」ってブチギレた事件があって、
解かる食べ手は、アホな客と考え無しのデパート側が悪いと解かって、パン屋さんの庇護に走った事件があったけれど、
それを思い出した。
覚悟を持ってしっかりと焼き上げられたパンに対して「焦げてる!」と文句垂れるような客には絶対にこの店の敷居は跨がせない。


カットされて供されまして、器とのマリアージュが大変美しいですね。
断面もコンガリと色づいていて、更に焼かれた事が解かる。



見て、この美しい漆黒。
「焼きもの」に通じるような。
友達もよくこのお店に通ってるのですが、毎回、このフォカッチャを大絶賛してて、
解かる。解かるよぉ~。
ウマいよなぁ~。
骨髄を入れ込むのが、ウマさだけでなく、思想も感じられて良いよなぁ。
生き物の命が、このフォカッチャに練り込まれているような、そんな生命の息吹の力強さを感じさせる美味しさだ。


ちなみに、ワインはこんなのを飲んだりした。
自分達の席の後ろ後方にワインセラーがあって、
そこから好きなのを見て選んで良いシステムのようでした。

そして、料理は続く。


写真から、火入れの感じとか、伝わるよね。



フォカッチャに通じる、焼き。
焼きが良いよなあ。均一じゃないのが良いんだよ。


冷製パスタは、お師匠さまである山田宏巳シェフことヒロさんへのリスペクトを感じさせる。

余談だけど、昔、中国新聞さんの料理対談で、
イタリア料理をテーマに語ってくれ~と言われて、
90年代半ばにおいて巻き起こったイタリア料理ブームにおいて、
リストランテヒロ・山田宏巳シェフの影響は大変大きかった~と語ったら、
他の対談ゲストの人達から笑われて馬鹿にされたのを思い出した。
その人達が、なんで俺の事を笑ったのかの理由も、もちろん俺は知ってたけど、
でも事実として、本当に90年代半ばにリストランテヒロさん・山田宏巳シェフは一世を風靡して、
その時代にイタリア料理人を目指した若者のほとんどは、絶対に影響を受けたはずだと自分は思っている。
なので、正直に、その事実を語っただけだ。
でも結局、私が語ったそれらの部分は全カットされた。
ハッキリ言って、そんなのどーでもいい。
目の前のこのパスタが、うまいかどーか、想いがこもってるかどうか、それだけだ。
うまい。それでいいじゃん!
想い、めっちゃこもってる!
と思った。


焼き上がった榊山牛!うひょひょ!
前回もそうだったけれど、メインのお肉に到着する頃には、だいぶワインの酔いも回り、
また連れとのトークが盛り上がって楽しいせいもあって、
焼き上がった塊状態の肉や、カットする瞬間を、今回も撮影しそこなっているアホな私。ごめんなさい。。
シェフが「お好きな量だけ、カットしますよ」とおっしゃってくださり、
あんまり欲ばって食べ切れなかったらいけないから、ちょい少なめでカットしていただいた。


しかし、溶けるように、喉の奥に吸い込まれるように、ペロリと食べ切ってしまった。ソッコーで。
今、記事を書いてて「おかわりすれば良かった」と思った。
酔ってて、その時は気付かんかった。
しかし、やはり、榊山牛は、めっちゃウマい。
一瞬で食ってしまったが、もっとよく味わって、よく味覚分析しながら食えば良かったと、今思ってる。


パスタって、なんだかんだ、日本のイタリア料理の花形だよなーって思うのですが。
このパスタも、とても美しかったですね。
麺を持ち上げた時の、その細さ、美しさがね。
スマートな長身女性モデルさんの体躯の曲線を想起させるような、しなやかな美しさ。
そこに香るトリュフも、魅惑的。


デザートが出て、フィニッシュ。
連れて来てくださった常連さんに「量が多いよ」と言われててビビってたのですが、
全然ペロリと完食できて、食後感もスッキリでした。
いやー、美味しかった!
ほとんどがリピートの常連さんで、お帰りの際に次の予約をされる事が多い~というエピソードも、
「一回試せたのでそれで良いや」でなく
「次もまた来たい!」と思わせるお料理~という証左でないかと思います。
私が文章で語るよりも百倍説得力があるよね。
そのため、中々予約が取れないと思いますが、
純粋な美味しいもの好きで、マナーを守れる人であれば、きっと食運が邂逅させてくれるのでないでしょうか。
参考までに、2022年6月時点の私の勝手な見識では、早くても3ヶ月以上は先でないと予約は取りにくいかも?
あと、予約が取れない理由の1つは、
カウンターのみで席数が6~7席しか無いのも、その理由の1つかも。
昔に、京都の一見さんお断りの日本料理の名店さんが言われたセリフに、
「両腕を広げた時の幅広さくらいまでしか、ウチはお客様を入れません。
それ以上は、私が責任を持って目を行き届かせる事が出来ないからです」
というのがあり、深く記憶に残った言葉だったのですが、
おそらく、こちらのシェフもそのように考えていらっしゃるのでないか~と私は推測しています。
良いお店、素敵なお店ですよね。
もちろん、お薦め店です、ぜひ訪れてみてください!
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