酒都西条、東広島市に存在する全ての酒蔵の中で、最も規模が大きいのが、こちらの賀茂鶴(かもつる)さんです。
自ら「酒王」と名乗ってらっしゃるのは伊達じゃありませんね。
西条の観光名所である「本陣(御茶屋)跡」ですが、これも賀茂鶴さんの所有。
「本陣」とは江戸時代の参勤交代などで、大名様がご宿泊なさる場所、
あるいは幕府からの要人が広島藩に出向かれた際にご宿泊いただく場所で、
当時の広島藩には全部で9つの本陣があったそうですが、賀茂鶴さんの本陣が最大規模だったそうです。
このエピソードからも、賀茂鶴さんの歴史と規模の大きさが伝わるのでないかと思います。
創業は1623年だそうです。(「賀茂鶴」という商号は明治に入ってから名付けられました)
広島の人は、けっこう「賀茂鶴」というブランドを軽視しがちな印象を私は持っているのですが、
東京の有名寿司店「すきやばし次郎」さんなどもお店のお酒として「賀茂鶴」を選ばれています。
また、今では一般に浸透している大吟醸ですが、実は「大吟醸」というお酒のジャンルを日本で初めて作られたのも賀茂鶴さんです。
昭和の文豪達が、賀茂鶴さんに寄せたメッセージです。
獅子文六さん、池波正太郎さん、壇一雄さん、遠藤周作さんなど「食」に一家言ある作家さんばかりというのが興味深いですね。
参考までに。
獅子文六
池波正太郎
池波先生は絵もご達者で、この手のエッセイの表紙イラストは全てご自分の筆によるものです。渋いでしょう。
檀一雄
娘さんの檀ふみさんも美食家として有名です。
遠藤周作
どれも読んで面白いですし、昔の時代に書かれたものなので「昔の人のグルメ感」というのが理解できて興味深いですよ。グルメ好きなら、ぜひ読んでみてください。
とにかく規模が大きいので、酒蔵を眺めて回るだけでも、私には楽しいですね。
敷地内に杜氏さん専用のマンションまで建ってるし。
どんだけ~。
一般的な酒造メーカーは、仕込みの時期には杜氏さん達は麹室に布団を敷いて泊り込み、というパターンも多いので、これにはけっこう驚きました。
広島市中区八丁堀の広島三越さんの北側の横断歩道の待つ所に、池と噴水がありますが、これも賀茂鶴さんのものです。
市内の一等地の土地を遊ばせていて、すごいなー、と感心しかありません。
売店では試飲し放題です。
他に酒造りの資料も展示してあり、眺めているといくら時間があっても足りません。
吉富蔵
「西条酒まつり」の時に会場として提供されている場所です。
吉富蔵の内部です。
こういう壮大な風景を見て、私が思うのは、ヨーロッパのワイナリーには、お城由来で、元城主の子孫がワイン造りをされているというパターンが多いのですが、賀茂鶴さんにはそれと同じ風景を感じてしまうのです。
福神井戸の蔵。
一般公開されていないのですが、ご縁があって見学させていただきました。
この日に買って帰ったお酒です。
「賀茂鶴 蜃気楼(しんきろう)」は特許も取得されている、天然アミノ酸発酵の発泡日本酒だそうです。
それと「賀茂鶴 純米吟醸 厳島」。
賀茂鶴さんには安いお酒から高いお酒まで幅広いラインナップがあるのですが、過去に一度一番高いお酒を飲んだ事があるのですが、すごく美味しくて驚いた事があります。
どこにでも置いてあってリーズナブルで身近過ぎるからか、広島人になぜか軽視されがちな「賀茂鶴」ですが、やっぱり美味しいお酒なんですよ。
ピンキリのピンの方を一度味わってみると、安い方のカップ酒なども、また違った印象で味わえるかもしれませんね。
楽しい酒蔵見学でした。
まさに「酒王」の名に負けない、巨大な酒造メーカーでした。
この規模の酒蔵は日本全国でもなかなか無いと思うので、素直に、良い見学をさせていただきました。
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賀茂鶴酒造(かもつる)
広島県東広島市西条本町4番31号
TEL 082-422-2121
営業時間 8:30~17:30 定休日:土日祝
http://www.kamotsuru.jp