料理屋そうびき ミシュラン二つ星の隠れ家日本料理店に行きました ランチもあるよ 東広島市西条


東広島市西条にある、隠れ家的な和食店「料理屋そうびき」さんを訪れました。
日本料理店としては、広島にわずか3軒しか存在しない、ミシュラン二つ星店の1店です。
西条駅から徒歩5分のビルの3階にあり、
隠れ家店のため、エレベーターを上がると、もうそのまま入口となりますので、心構えはエレベーターに乗る前に。
余談ですが、店名の書は、なんと、未在さんや草喰なかひがしさん等も手掛けた書家の先生の筆によるものだそうです。へえ~!
駐車場は、すぐ隣に西条岡町駐車場があります。
完全予約制のお店で、
ランチもディナーも内容は同じで、
1万円、1万5千円、2万円からおまかせコースを選ぶようになっています。
今回は、初めて一番上の2万円のコースをお願いしてみたのですが、
結論から言うと、大満足でした。ここに行くなら、絶対に一番上のコースを頼んだ方が良い


先付から、いきなりレベルが高くて驚く!
山口産アワビの酒蒸し、鹿児島の筍、新潟のうるい、北海道のバフンウニの取り合わせ
一鉢の中に、繊細な味わいが絶妙なバランスで盛り合わせてあって、
これはかなり感動できる味わいでした。
伺ってみると、盛り合せる前に、筍やうるいは一度出汁ですすいで、下味を付けてあるという手の込みよう。
味付けは、真昆布の出汁に、焼いたアマダイの骨、ボタン海老の頭を入れてコク出ししたものをジュレにして。
この一皿は、本当に凄かったです。お店の実力が表れた一品だと思いました。
あと、こちらのお店は、使われている器も素晴らしくて、
この器は、樂焼・楽家九代楽吉左衛門(了入)の作。


スペシャリテのカラスミそうめん
小豆島の素麺に、自家製のカラスミをふりかけて。
からすみ蕎麦と言えば、大阪のカハラさんが有名ですが、
単にそのまま真似てからすみ蕎麦を出すお店が多い中、本歌取りなアレンジだね。
ご想像つくでしょうが、こちらの御料理は、最初から日本酒を呼びますなー。
ぐいぐいと飲めてしまうので、飲みすぎ注意報ですな。
素麺と唐墨の味を繋ぐのに、隠し味に鮎の魚醤を少し入れてあるそうです。なるほどー。
器は、中川自然坊窯さんの朝鮮唐津で、美しい。目にも楽しめる一皿。


お酒の話題が出たので、日本酒ですが、値付けが安くてたまげる!
グラスで、而今が500円、新政No.6が800円。
地元西条の純米吟醸などはグラス400円という破格。
居酒屋でこれらのお酒を飲むなら、絶対にこちらで飲んだ方が良い。
しかも、品質管理の観点から、あえて四合瓶を選択されているそうで、
劣化していない活きた良酒を味わえます。
いくら有名な銘柄でも、気の抜けた酒が出てきた時っちゃ、情けなくて泣けてくるからねえ~。素晴らしい。


賀茂鶴さんの最高峰「天凛」。
過去の賀茂鶴酒造さんの記事で書いてるのですが、
広島の人って、地元で有名過ぎて賀茂鶴さんを軽視する傾向にあるのですが、
ピンキリのピンを飲めば、賀茂鶴さんの凄さが解っていただけると思います。さすが酒王と唸らされる。
ちなみに、広島で「天凛」を置いている飲食店は、唯一こちらのお店のみです。
もう1本は広島錦の大吟醸で、同じ広島錦でも大吟醸を置いている店は広島にほとんど無いので、貴重な地酒。
県外からのお客様をお連れするのにも向いているでしょう。


椀物 鳥取の松葉蟹
なんと、蟹真薯は、2椀で蟹1匹が使用されているという豪奢な造り。
ほぼつなぎ無しで、蟹のみで作られた真薯は贅沢の極み!鼻血が出そう!
お出汁も、7年物の利尻昆布を、通常の2倍量使って、贅沢に引かれているそうです。
それから、このお椀に限らずなのですが、
なんと、出汁はお客様が来店してから引かれているそう!
引き立てのお出汁の香りを楽しむという贅沢。すごいなー。伝わる人には伝わるんだろうな。
この後にお造りでアマダイが出るのですが、
お椀の調味に、アマダイに用いた塩の「元」となった海水(!)を取り寄せて、
ほんの少しお椀のお汁に足されているそうで、
コースの中での、味の余韻による繋がりを意識されているそう。
ここまでやるのって料理の変態レベルやん!(褒めてます)
二つ星店ですが、三つ星レベルではないかと思うほどでした。


お造り一品目 島根産アマダイが最高すぎました!
脱水熟成させてあるのですが、その加減が絶妙。
身の引き方の厚さやボリューム感、枚数も、全てが「ちょうどいい」。
特に私は、お刺身が1枚だけ~みたいな提供の仕方だと味が解からないと考える人なので、
じっくりとアマダイを味わい尽くせるプレゼンは凄く良かった。
山口萩の醤油を使った、中国地方らしい甘めの出汁醤油と、
石川能登輪島の海塩で、好みでいただきます。
これも、めっちゃ日本酒を呼ぶ感じだった。
この刺身だけで延々と飲んでいたいくらいの美味さ!
ワサビは、なんと日本最古最高峰と言われる「わさびの門前」。
器は、安土桃山時代の古田織部だそうで、卒倒もの。恐ろしいやら有難いやら。
「この器を用いて御料理を頂く」という体験には、ちょっと価格が付けられないんじゃないかなぁ。
日本料理という「文化」を味わう体験が、この店には有ると思います。


アマダイで呑んでいる間に、生きている和歌山産の天然伊勢海老を捌いて、見せてくださいました。
「今から、これを炭火で焼き上げていきます」
テンションぶちあがりじゃろ。
ちなみに、こちらのお店、カウンターはあるのですが、
割烹ではなく料亭料理屋さんなので、カウンターでの調理はありません。
手の込んだ仕事をされるので料理は調理場で集中され、それがお運びされてきます。


お造り二品目 山口の天然トラフグ
一鉢に厚切りの身、皮、白子などを盛り込んで。
これも身の厚さなどちょうど良く。
昔は薄く引いて数を増やして大皿に広げたものですが、
現代では、それを一鉢に凝縮するとは、価値観や時代の変化ですな。
ポケベルがスマホになるようなもんですな。
そんな「時代の変化」の真っ最中に生きているのを感じてしまった。
この時代に生きる事が出来て、幸せだなァ。
当時の人達は、未来の日本で、こんな贅沢なフグの食べ方をするようになるって、想像つかんかったやろなァ。
鉢は現代作家物で、池西剛さんの粉引。


お造り三品目 畜養(養殖)のホンマグロ
こちらのお店は、サステナビリティに配慮して、
絶滅危惧種の食材を使用されないポリシーだそうです。
ホンマグロも通常は使用されないのだそうですが、
サステナビリティに配慮した養殖マグロを今回は試してみたそうです。
単なる養殖と違って、サステナビリティに配慮した養殖なので、
手間の関係でとても高価だそうで、天然の大間のマグロよりも仕入れ値が高く付くそうです。
しかしそういう志の生産者を応援したい意味で買い付けたそうです。心意気やね~!
畜養マグロは、和歌山産のカマ近くの大トロと、
ポルトガル産の中トロの食べ比べ。
天然に比べて、やはり脂が強いので、
炙りにして、黄ニラ醤油で仕立ててあり、
誤解を恐れずに言えば、まるで焼肉のカルビみたいなユニークな味で面白い。
こういう味わいの演出って、日本料理店では勇気がいるんじゃないかと思いました。
賛否両論ありそうだけど、私はチャレンジ精神を評価したい。
器は、中国の明代の古染付で、
美術品で食事をする、というのは「外で食事をする」からこそだよなぁ。おもてなしですな。恐縮。
単なる「腹ふさぎ」の外食じゃないんだよね。かしこまる。


和歌山産天然伊勢海老 炭火焼 山椒オイル
そうこうしている内に、伊勢海老が焼き上がりまして。
なんと、この日は1人1匹が供されました!(その日の仕入れによって変わります)
つうか、この一皿だけで、普通に1万円すると思う。
コース2万円の金額だけ見たら高額かもしれませんが、
内容を知ったら、この内容で2万円は破格だと思えました。
この店では絶対に一番上のコースにした方が満足度高いっスよ!
(ちなみに伊勢海老は、1万5千円~仕入れ次第でコースに入るそうです)
お皿は、人間国宝の原清先生のもの。


私の人生史上で、一番クオリティの高いイセエビですわ。
サイズや身質が全っ然違う。
これからイセエビ食べたくなったら、絶対にここに来よう。
仕入れ力がすごいわ。


インスタで動画で見れます~!


ここから八寸がド~ンとくる!
このお店の八寸は毎回見事で、心が華やぎます。
この日は、桃の節句に見立ててあって、菱餅をイメージした八寸盆に、
松葉蟹は、ぼんぼりのイメージ、
トラフグ白子炭火焼きホタルイカ天ぷらは、ちぎり餅のイメージ、
からすみ餅は、甘酒の金杯、
酒盗ぼたん海老は梅の香合
で、全体をコーディネート。
正直、既に腹いっぱいだが、
昔の侍の時代の宴席というのは、
こういうので延々と何時間もおしゃべりしながら酒を酌み交わす文化だったので、
それに倣って、ゆっくりと時間をかけて、お酒と共に楽しみたいね。
「日本料理は量が足りない」と言われる向きでも、しっかりお腹いっぱいになれるよ。
私達も、けっきょくコース食べ終わるまで4時間くらいかけたと思います。(終電のある人は早めに入店しましょう)
あと、こちらのお店は、最近の日本料理店と違って、あえてワインにはあまり力を入れてらっしゃらず、
日本酒推しのお店なのですが、そういうのにも全て「なるほど」と納得がいきます。ポリシーなんやね。
このお店のお料理には、終始日本酒が似合う。


お肉料理 鳥取万葉牛BMS12サーロインのしゃぶしゃぶとカブ
お魚だけじゃなく、お肉もちょっとね。
鳥取の谷口畜産さんの万葉牛です。
3年物の羅臼昆布で出汁を引いて、それで軽くしゃぶしゃぶされています。
10人いたら10人が美味しい、間違いの無い定番の味わい。
呑んだ後の汁もんが嬉しいね~。染みる。
器は、人間国宝の井上萬二先生の作です。


最後に、お食事。山口萩産サワラの炊き込みごはん
こちらでは、毎年お米をテイスティングして、日本全国から一番良いお米を探されているそうで、
今期は、新潟の新之助の新米。それを一番出汁で炊き上げてあります。
山口萩のサワラは、幽庵地に付けて表面だけを炭火で炙り、
炊きあがった釜の中に入れて、余熱でレアーに火入れ。
ゴボウと三つ葉との塩梅もよろしくて。


浅漬けは、お客様のご来店時刻から逆算して1時間前から漬け始めるそうです。
味噌汁はフードロス削減のポリシーで、その日の魚のアラなどを用いて。
サステナビリティについてもそうですが、
単に美食を追求するだけでなく、そこに思想があるのが、このお店の好きなとこなんだよなァ。


冷たいデザート 作り立ての恋みのりソルベ
パコジェットのある日本料理店って。さすが。


温かいデザート 焼きわらび餅 お薄抹茶
焼きわらび餅は、国産最高峰の本わらび粉、和三盆、水だけで、提供直前に練り上げて、
出来立てを氷水で締めて葛粉を打って炭火で焼き上げたものだそうです。
冷温の二品の差があって、最後まで面白いね。
日本料理だと、普通は最後は水菓子(果物)なんですが、
こちらのお店はコースの御料理に砂糖を一切用いていらっしゃらないので、
最後は一手間かけたお菓子を提供されているそうです。なるほど~。
薄茶は松の白でした。
という訳で、大満足のコース内容でした。お薦めです!
今回、かなりリキを入れてレポートを書いたのですが、理由がありまして。
新型コロナによる飲食店の時短休業補償の、エリア外なのですよね、こちらのお店は。
他のお店さんは時短や店休して補填金がもらえる中で、そういう補償が無い状況で、
ご予約のお客様のために頑張った仕入れをずっと続けていらっしゃる姿勢に、
ちょっと胸を打たれまして。
苦しい中で辛抱して頑張ってらっしゃるなあと。
「二つ星のクオリティを維持する」とは、こういう事なんだなぁと。
こういう心意気のあるお店さんを、やはり、皆さんに知っていただきたいなと思いまして。
お薦め店です!ぜひ訪れてみてください。
1万円のコースも試した事があるんですが、どうせ行くなら、断然2万円のコースが満足度高いです。
量もしっかりあるので、お腹ペコちゃんにしてコンディション整えて行くのが良いですよ。
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料理屋そうびき
広島県東広島市西条岡町10-24 3階
電話 080-1645-3185
営業時間 12:00~14:30 18:00~22:00
定休日:月曜終日、日曜夜
https://sobiki.jp/
——–下記は過去のレポートです——–

八寸
これで、ちびりちびりと、お酒を飲むのが、たまらないですよね。

毛蟹じゅんさいウニ
ああ、うまい。
これで冷えた酒を飲むのが、涼しい。


カラスミそうめん
近年、全国のいろんなお店でインスパイアされているカラスミ麺のアレンジですね。
店主さんご自身、全国のいろんなお店を食べ歩いておられるそうで、
全国で感じた「美味しい」を、ご自分のフィルタを通して表現したくて、このお店を始められたのかな、と感じました。


ホンマグロ トロ
どれも、これも、美味しくて。


焼き物 太刀魚
「美味しいもの好き」の人なら、至福の時間を過ごすことが出来ると思います。

お酒は、こちらなどの西条の地酒から、十四代の中取り大吟醸まで、
日本ワインなども揃い、幅広いラインナップ。



4 COMMENTS

管理人hiro

>橋本知憲様
コメントありがとうございます。
東広島ではダントツなお店だと思います。美味しいですよ!
ぜひ行ってみてください。

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児玉

行ってみたいです。が、私の懐具合が。1万コースでも、食べきれないないかもしれません。。食欲、そそりますね。どれも皆、食べてみたいです。詳しい説明、写真を、ありがとうございます。

返信する
管理人hiro

>児玉さま
コメントありがとうございます。
1万円コースでも充分満足度高いですよ。私もしょっちゅうは行けませんが、自分にご褒美あげたい時に行ってます。
いつかぜひ試してみてください~!

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