トップオブ広島牛の榊山牛とは 生産者の馬上畜産牧場さんを訪れてみました  広島県安芸郡熊野町さかきやまぎゅう


今までに、広島の様々なハイクラス店で「榊山牛(さかきやまぎゅう)」を食べてきて、
今までの広島牛とは一線を画す、そのハイクオリティな味わい、
様々なフーディーの口からも自然と「榊山牛」の名前をよく聞くようになり、
「いったい、榊山牛って、どんな和牛で、美味しさの秘密って何なのだろう?」と思うようになりました。
それで、ずっと「牧場を見学に行きたい!」と思ってたのですが、
今回、その夢が叶いまして、
生産者の馬上(ばじょう)畜産牧場さんを訪れる事ができました。
さっそく、ご紹介していきたいと思います。


榊山牛の肥育農家である馬上畜産さんは、広島県安芸郡熊野町にあります。
平安時代に宇佐八幡宮さまより御分霊され、1100年以上の歴史を誇る大宮「榊山神社」さんから、車で3分くらいの場所にあります。
すぐ近くには田んぼなどもあり、素朴で自然豊かな、いわゆる田舎の環境にあります。


特に看板などは出ていませんが、こちらが入口となります。
ちなみに、こちらに限らず、牧場には勝手に入ったらいけませんよ。
牛さんは病気に弱いので、どこの牧場でも勝手な立入を禁止しています。
私は、榊山牛銘柄推進協議会さんへ正式に見学の申し入れをしてから、伺わせていただいております。


でっかい!!
牧場主の馬上さんも、ガタイの良いイカツイおっちゃんなのですが、
その馬上さんと比べてみても、
牛さんの頭だけでも、デカ過ぎじゃないですか!?
それというのも、馬上畜産さんは、広島県で初の長期肥育にチャレンジする肥育農家なのだそうです。
具体的には、32ヶ月(2年8ヶ月)以上かけて育てる~というのを絶対条件にされています。
長期肥育すると何が違うの~?って私達のような素人は思ってしまいがちですが、
こうやって実物の牛さんの大きさを見ると、
その迫力から伝わってくる説得力がありました。
私は牧場見学が好きなので、いろんな牧場を見学させて頂いてますが、
これだけのサイズの牛さんは、なかなか見る事ができません。
健康的にしっかりと大きく育つ=肉に味が乗る」というのは、誰もが納得できる理屈じゃないでしょうか。
文字で小難しい説明を並べられるよりも、100倍も説得力がありました。
なるほどな~!
色んな人が「榊山牛は味が濃い。食べた後の余韻が違う」と言われるのは、しっかり育ってるからこそなんですね~!
あと、個人的には、除角されていないのがすごい!と思いました。
馬上さんは、この牛さんの檻の中に一緒に入って、寝床の掃除などをされるそうです。
自分だったら怖くてできない!
「農作業死亡事故」と言いますが、牛さんって1トン以上の体重がありますから、寄りかかられてボディプレスされるだけでもかなりヤバイんです。
その上、更に鋭利な角付きだったら。。。ちょっとでも牛さんを怒らせてしまうと。。。
自分だったら、ビビッてしまって、絶対に檻に入ったり出来ない!
それを馬上さんは、なんなく笑い飛ばして
「掃除しよるのに、甘えてすり寄ってくるけんウザいんよ~笑」って。
それからキリッとした顔で「うちでは事故は一件も起きたことないよ!」
自信と誇りが表れていると思いました。
馬上さんの理想は「人が来ても、牛が安心しきってゴロ寝してるような牧場」なのだそうです。
普段から、牛さんに安心してもらえるようにと、
ご家族にも「牧場内では絶対に走るな」と厳しく言われているそうです。
そういう細やかな牛さんへの気遣いが、一事が万事なのだろうな、と安易に想像が付きました。


餌についても、教えて頂きました。
ただし、どこの牧場でも基本的に餌については企業秘密なので、馬上さんへの仁義として全ては書きません。
餌ですが、まず、100%広島県産の稲藁
飲み水は、もちろん、地元熊野町の湧き水天然水
草食動物である牛さんにとって、まず、この2つが基本となる訳ですが、
それが両方とも100%広島県産、というのは、正に広島和牛と呼ぶべき理由となるでしょうね。
次に、よくある、メーカーが出している既製品の配合飼料は使用されておりません。(使った方が断然ラクチンなのだけど。)
何種類にも及ぶ天然自然な食材を、こまめに自家配合されております。
後述しますが、なんと、馬上さんは、牧場の牛一頭一頭の全てを性格まで含めて把握されており、
各牛に合わせて、配合の割合を調整されているそうです。
なんという手仕事!
ここで飼われている牛さんは、幸せですね~!
餌を食べ残して腐らせるような事も当然に無いので、訪れれば解りますが、こちらの牧場は本当に清潔で、嫌な匂いがありません。
牛さんの腸内状態も良い為、また、馬上さんがこまめに掃除されているため、糞尿が匂うような事もありません。
本当に素晴らしいと思いました。

せっかくなので、動画で見て欲しいなと思って、インスタグラムを載せました。
音声付きなので、ぜひ音ありで見てみてください。


私は今まで「牛の性格って、味とは関係ないでしょ」と思っていました。
しかし、それは間違いだったと、馬上畜産さんを訪れて気付かされました。
馬上さんと牛さん達の関係は、
言ってみれば、クラスの先生と生徒。
馬上さんは、まず仔牛さんをひとつのクラスに一緒に入れて、様子を観察されます。
そして、仔牛さん同士の性格の相性を見分けるのだそうです。
あいつとこいつは仲良し、そいつとそいつは一緒にすると喧嘩する、~といったように。
それを数ヶ月~1年かけて、仔牛さんの性格や相性を見抜かれます。
そして、その相性ごとに、
仲の良い牛さん同士をグループ分けしていくのです。
あるいは、一匹で単独飼いした方が良い牛さんは、単独飼いに。
それに何の意味があるの?って思われるかもしれません。
しかし、これを人間に例えて、考えてみてください。
気の合わない人と毎日ずっと同じ空間に居させられたら、めちゃストレス溜まりますよね。
結果、精神から身体まで悪くなります。
逆に、仲の良い友達と過ごすのは、1人よりも楽しい。ウキウキルンルンと気分も高揚します。
(特に、本能に従い生きる動物にとっては「個別飼いされて寂しい」ことがストレスになる場合もあるだろう事は、容易に想像が付きます。)
もちろん、1人で過ごすのが好きな人もいるでしょう。
今まで私は「単独飼い」が、最も良い飼育方法だと思っていたのですが、一概にそういう訳ではない、という事をこちらで初めて知る事が出来ました。
たしかに、人間もそうですが、寂しがり屋の人は、1人ぼっちが嫌な人だっていますよね。牛さんだってそうなのだ、と思えました。
つまり、今時の言葉で言えば、アニマルウェルフェア畜産なのです。
(アニマルウェルフェア=家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方=家畜福祉)
上述の餌にしてもそうですが、
牛さん一頭一頭の性格まで知り抜き、個別に適した飼育を施されておられる。
インスタグラムの動画にあるみたいに、そりゃあ牛さんは馬上さんを慕うよねえ。
そうやってストレスが無く、幸せな環境で育ったら、お肉も美味しくなって当然だと思いませんか?
実際に、ストレスがかかった動物のお肉は、血流が悪くなったり、筋肉にコリが出来たり、毛細血管が破れたりして、
味が悪くなる、というのは、昔からの定説です。
素晴らしいのは、馬上さんは、アニマルウェルフェアという言葉が浸透するよりもずっと前から、
このように、牛さんの幸せや健康を考えた育て方をされてきた事です。
本来のSDGsってそういうものだと思います。
本当にやっている人は表面的な言葉に関係なく、一貫して行動されているのだ、と実感させられました。
本当に感動させられた牧場見学でした。


↑広島出身のアンガールズの田中さんも訪れてテレビで紹介されました。
インスタグラムでダイジェストを載せたので、ぜひ見てみてね!


榊山牛生産現場の凄さは、生産農家・馬上畜産さんからバトンタッチしてその先を引き継ぐ仲買人・精肉加工業者さんまで一貫しているところも、取り上げられるべきでしょう。
榊山牛の、仲買~精肉加工~卸売までを担当するのが、
広島県の「株式会社 焼肉ふるさと」さん。
なぜ焼肉屋さんが関係するの?というのは、後ほど詳しく語りましょう。ちゃんと理由があるのです。
さて、なぜ生産農家さんから仲買人・精肉加工業者さんまでが常に一貫している事が、凄くて大事なのか、を説明します。
魚介類が漁獲後の「手当て」で、品質が良くも悪くもなる事は、フーディーの皆さんにとっては既に常識でしょう。
お肉も同様なのです。
と畜場の広島食肉市場さんで脱骨までをおこない、小割りして一度真空パックにする事で、雑菌の付着を防ぎます。
その状態から先が、下記の写真になります。
今回は、特別に焼肉ふるさと精肉加工場の内部も取材させていただきました。(ちゃんと殺菌消毒してから入室しています)


同じ広島血統・榊山牛メス牛サーロイン、4頭違い。
ちなみに、榊山牛は全てがメスの処女牛のみなのだそうです。(内部規定)
驚くのが、手前にある仔牛登記書類
これ、原本です。
原本はセリで牛を落札した業者さんに1通だけしか発行されないルールです。
(なので普通の精肉店さんにはコピーが配られます。通常は、仲卸さんがセリで落札して、スペック割りにされたものが、その下流にある一般の精肉店さんや焼肉屋さんに入荷されていきます。)
つまり、焼肉ふるさとさんは本当の一頭買いをされている、という事です。
(よくキャッチコピーのように「一頭買い」という言葉が使われますが、だいたいが仲卸が一頭買いの原本を持ってて、単に小割を仕入れてて、そのコピーを借りているだけ~というパターンが一般的です。)
なので、焼肉ふるさとさんにある小割りのパーツを、全てかき集めたら、本当に牛1頭分のパーツが揃う、という訳です!

私の説明が下手なので、長くなってて、すみません。。。

馬上畜産さんの出荷された榊山牛を、必ず、焼肉ふるさとさんが、競り落とす。
という事は、専門用語になりますが「相対取引」をされています。
(長くなるので割愛しますが、詳しく知りたい人は「市場 相対取引」でググってください)
その本当の意味は、次の画像を見ていただいた方が説明が早いでしょう。

こちらの榊山牛肉ですが、なんと、BMSは6、BCSは4です!!
この説明だけで、私の言わんとする事が理解できた人は、本物の和牛マニアだと認めます。
A5」という言葉は、もう100人いたら100人知っているくらいに認知されていますが、
近年、和牛マニアの人達の中で流行っている用語で「BMS」という言葉が拡がっています。
ここでは詳しく用語の説明をしませんが、
一般に、BMSは12が最高 というのが常識であり通説です。

日本食肉格付協会」さんの公式ホームページより。
(詳しく知りたい人は、リンクしてますので、読んでみてください。)
例えば「A5」と表記しようしたら、BMSは8以上が必要となります。
(和牛マニアの人達が、なぜBMSという言葉を使うかと言うと、同じ「A5」という表現でも、実はBMS8でも「A5」と言えるし、BMS12でも「A5」と言えるから、「このA5は、A5でもBMSが最高の12のA5なんだぜ!」と、より詳細に解説する為に、BMSという言葉を使われる訳です。)
しかし、BMS12のA5が、本当に「味の美味しさ」では最高なのでしょうか?
たしかに、競りで一番高値が付くのはBMS12のA5というのは、間違いありません。
だから生産者さん達も、競うようにBMS12のA5を目指される訳です。
でも、正直私達食べ手にとっては、飽食カロリー過多の令和時代において、そろそろBMS12のA5以外の選択肢もあって良いんじゃない?、というのが本音。
もちろん、素晴らしく美味しいBMS12のA5に巡りあえる事もあるけど、そうではなくて脂過多にうんざりさせられる事の方が多いのでは?
(だから近年、赤身肉ブームがずっと続いている訳でして。)
きっと食べ手の多くの人達は、そう思っているはず。
でも、生産者さんはBMS12を目指すことを、どうしても、やめられない
なぜなら、一番高値が付くのがBMS12だから。
ここで、やっと話が元に戻るのですが。
つまり、焼肉ふるさとさんは、BMS6の牛を、BMS12以上の高値で買い上げている、という事です。
(そうでないと、生産者さんにとって、BMS12指向を辞める意味を成さない。)
この凄さ、素晴らしさを、私が心を込めて書いても、一体、どれだけの人にきちんと伝わるだろうか。。。
こういう買い付けが出来る仲買人は、日本全国におそらく20人もいません。
実際に、馬上畜産さんも、焼肉ふるさとさんと出会うまでは、BMS12を目指した牛飼いをされていました。
だって、家族や生活がそこにかかっているのですから。
つまり、多くの食べ手が理想として求める「脂は過多でないのに、黒毛和種特有の美味しさを持った、本当に美味しい和牛肉」が、
なぜニーズがあるのに作られないのか~、口で言うのは簡単だけれど、なぜみんな実行しないのか~、
それはリスクを担保してくれる仲買人がいないからです。
そこまで自分自身を賭けて一緒に闘ってくれる人がいないから。
しかし、ここにこうして、信頼関係の上に成り立つ黄金のタッグが誕生したからこそ。
榊山牛はBMS12が最高とされる通説や一般常識に縛られず、本当の美味しさを自由に追い求める事ができる牛肉として成立したのです!!!
もちろん、単にBMSが低ければ赤身で美味しいお肉なのか~とは、なりません。
上述したように、健康的で美味しい餌の工夫、ノーストレスな成育環境、を長期間にわたり維持・継続しつづけ(=持続化)、しっかりと長く牛を育てていってこそ、
初めて「脂は過多でないのに、黒毛和種特有の美味しさを持った、本当に美味しい和牛肉」となるのです。
榊山牛の公式ホームページの中に、何気なくサラリと書かれている、次の言葉。
「榊山牛は見た目の評価ではなく食べておいしいお肉を目指しているので、あえて品評会などには参加しておりません。おいしさ基準の品評会があれば参加させて頂く予定です。」(Q&Aのコーナーより)
この言葉には、上述の、通常は実現困難で多くの人が諦めていく道に、あえて覚悟を持って踏み込んで進んで行く「馬上畜産さんと焼肉ふるさとさんの覚悟・誇り」が表れている、
と私は思わざるを得ないのです。。
マジで、お2人の心中を想像すると、涙が出そうな気持ちになったよ。。感動した。。
少しでも伝わって欲しいなぁ、と思って、こうやって筆を取っております。


長文、うんざりされてるかもしれませんが、もう少しだけ、これだけは書かせてください。
見て、このツヤツヤプリプリのレバー
上述したとおり、本当の一頭買いをされている~という事は、
一頭の榊山牛の頭から尻尾まで全てのパーツが、揃っている、という事になります。
なので、焼肉ふるさとさんには、同じ榊山牛牛タンから牛テールレバーから、ハツ肺ミノセンマイ小腸大腸などまで、
ぜ~んぶ、きっちり揃っている事になります!
東京の和牛マニアの人には、全く信じられない、きっと嘘に思えるような話でしょう!でも本当なんです!
「精肉と副生物(内臓類)は別」というのが、肉マニアの人達の中では常識ですからね。
しかも、このレバー、その日の朝にと畜したものをその日のうちに焼肉ふるさと精肉加工場に入荷し、小分けして広島の飲食店さんに卸売りして、なんならその日のうちにお客様の口に入っちゃいます
凄いでしょ。広島に榊山牛の話を聞きに、生産現場を訪ねて来たくなったでしょ。笑
さて、レバーで言いたいことは、本当はそれじゃないんですよ。(つい自慢してしまいました、すみません。)
重要なのは、既に見て解かるでしょうが、なんて健康的なレバーなんだ!という事です。
上述したとおり、牛タンから尻尾まで、ミノや大腸まで、私、全て実物の状態をこの目や舌で確認してますから。
私は過去に、あるお肉屋さんで、食通ぶったお客様が、
和牛のミノなんか不健康で食えたもんじゃないから」なんて、
知ったかぶって偉そうに語るのを目の当たりにした事が、私はあります。
(もうちょっと考えて発言しろよ、と思いましたね。)
確かに、そういう和牛もあります。
ビタミンA欠乏で脚気になって立てない牛さんとかね。
(ビタミンA欠乏を意図的に起こさせると、肉が霜降りになり易いため)
実際にそういう和牛生産の現場が、やはりあるからこそ、
「だから和牛はダメだ」なんて、
ネガティブな風説をドヤ顔で広める人達も出てしまった。
しかし、どうですか。こうやって真摯に取り組む生産者さん達がいらっしゃる。
もちろん、榊山牛の健康的なミノは、食べて美味しいです。
ミノだけじゃない。どの部位だって、食べて美味しいですよ!
その、健康的で美味しい内臓を持った同じ牛さんの精肉、サーロインやヒレやモモなど。
「美味しい」は、きちんと一貫している。繋がっていますね。
冒頭に、馬上さんの牛飼いの一部始終を記載したからこそ、
このツヤプリレバーで、内臓類の健康さを見て、その内臓を持つ牛の精肉の味わいも推して知って欲しいと思って書きました。
そこから先は、ぜひ、厳選された「榊山牛正規取扱店」にて、プロの技術で昇華されたお料理で、確かめてみてください。

めちゃ良い笑顔で、榊山牛肉を磨き上げている社長。(撮影の瞬間だけ、マスクを外していただきました。)
「良い肉だ!って、触ってて分かる時は、興奮するよね!」と語られます。
上述した経緯があるからこそ、努力と苦労を積み上げて来られたからこそ、この笑顔は本物だと思えたし、その言葉には薄っぺらじゃない重さを感じました。
榊山牛の生産現場の特筆したい特徴として、
なんと、出荷した榊山牛一頭一頭、全ての精肉の味を、生産者の馬上さん本人が実際に食べて確かめている、という事が挙げられます。
和牛業界に詳しくない人は「ふ~ん、それって当たり前じゃないの?」って思いそうですが。
ハッキリ言います。
和牛(あるいは国産牛)生産者さんで、出荷した牛の肉質がどうか、実際に、常に自身が食べて確かめる生産者さんは、日本全体でわずか数%です。
和牛生産者さんが、100人いたら、99人以上、おそらく100人が100人、そうだと思います。
通常は、肉牛生産者さんのお仕事は、競りにかけて出荷しお金に換えたら、そこで終わりなのです。
なので、皆が皆、数値指標である BMS12 を目指す訳で。
通常、和牛生産者さんが、自分の出荷した牛の肉の味を確かめたいと思った場合、
せり落とした業者さんに、どこの精肉店に到達しているのかを聞いて、
そこの精肉店に行って、一般のお客様と同じようにお金を払って牛肉を買い求めないといけない、
というのが一般的なルートとなります。
当然ですが、競りにかけて以降の段階は、生産者さんからは見えないブラックボックスです。
せり落とした仲買人が、一頭枝肉を、どのような環境でどう小分けしているのか、
小分けされたブロック肉(ノーマルスペック)を仕入れた精肉店さんは、更にどのような環境で、どう小分け、保存されているのか、
それらは精肉を購入した生産者さんからは把握できない状況が、当たり前です。
(参考までに、定められた「牛肉部分取引規格」について、リンクを貼っておきますね。)
一般の和牛生産者さんが悪く言われる起因になってはいけないので、弁明もしておきます。
これは、牛さんの個体が大きいので、どうしても、仕方ないのです。
野菜や魚のように小さな個体なら、生産者さんが直に味見~というのが、安易に可能なのですが。

そういう理由で、
一般には「そこまでやるのは面倒くさい。そこまでやるのは時間と手間と費用がかかり過ぎる」として、
生産者さんが、実際に自身の牛の味を確かめる時は、ほとんどありません。
それを、馬上畜産さんと焼肉ふるさとさんは、ずっと実行されているのです。
時たま、じゃないですよ。
一頭一頭、全て、です!
私達自身の仕事や作業においても、そうなので、皆さん、容易に想像がつくでしょうが、
トライ&エラー、結果のフィードバックを次回に反映~の繰り返しは、完成度を高めるため、必須です。
上述の社長の笑顔ですが、今でこそやっと~なのだ、そうです。
だからこそ、割ってみて良い状態のお肉だったら、笑顔がこぼれざるを得ない。
最初は、思った状態に仕上がらなかった牛肉も数多くあったそうです。
そういう牛肉は、卸先の高級飲食店さんには卸せない~と、出荷しなかったそうです。
榊山牛として販売せずに、一般的な広島牛として、焼肉ふるさとで販売してさばいたそうです。
(だからこそ、焼肉屋さんである事が必須だったのです。)
そういう結果も全て馬上さんにフィードバックして、ずーっとコツコツ積み重ね続けてきたからこそ~。
素直に、良い肉質状態だったら、社長の笑顔が止まらなくなるのでしょうね。。
この味わいのフィードバック作業ですが、
私の知るかぎり、ここまでやっている生産者さんは、おそらく日本全国に10件も無いのでないか?と思います。
そのくらい、和牛の現実を知っている人達からしたらあり得ない事を、榊山牛の生産現場は実行されています。
ついでに書いておくと、
焼肉ふるさとさんが精肉状態として正規取扱店さんに卸し出荷される際、
肉磨きの結果の歩留まりは95~100%だそうです。
つまり、余分な脂の分は、卸し価格に一切含めないようにされています。
誠実すぎるだろ!
取材の最中に、感動させられる事が多すぎて、書くのがめちゃ長くなって、本当すみません。。
他、冒頭で触れましたが、
精肉加工における「肉の品質を損なわない手当ての仕方」についても、様々なノウハウを持たれている事を書いておきます。
(ノウハウは財産ですので、私が勝手に書く事はできませんが、ひと通り方法論をお聞きして「理に叶っている」と思いました。)
最後に、
まだ榊山牛は、現在進行形で、
これから先の未来も楽しみだ~!という事を書いて、締めくくっておきたいと思います。

こちら、日本の黒毛和牛の第一号は、広島和牛であるという証拠を示す証明書となります。
左上に「0001」と記載されているのに、着目して頂ければと思います。
私は、ここ数年ずっと、広島は和牛の聖地である~と言い続けてきました。
これについては、私が下調べ・取材を積み重ねたものを元に、同じ広島出身のグルメインフルエンサーさんに発信して頂いたので、そちらが詳しいです。
一気読みすると疲れるだろうから、また時間のある時に読んでみてください。とても解かり易くまとめてくださっています。
 ↓↓
すしログ:和牛をめぐる冒険~日本の和牛は広島から始まった!?~


牛の神様・大仙(だいせん)さま。
毛利元就、小早川隆景、浅野忠義など歴代藩主にも厚く信奉されました。
こちら、広島和牛の聖地の1つで、日本最古の、京都伏見稲荷神社の史上最初の御分霊となります。(大仙さまは、その境内の祭神の1つ)
またどこかで詳しく書けたらと思いますが、ここでは割愛しますが、
広島和牛のルーツには、古くは京都御所で天子様の牛車を引いた牛もおります。
和牛マニアの方々においては、詳しい人もいらっしゃるでしょうが、
黒毛和種の四大ルーツとなる蔓牛(つるうし)
日本で2番目に古い広島和牛の始祖岩倉蔓(いわくらつる)
まだ未来のことなので、あまり詳しくは書けませんが、
榊山牛は、今、未来に岩倉蔓の復興にチャレンジしている~と、抽象的に書き記しておきたいと思います。(2022年4月10日記)
社長曰く「2年後を楽しみにしておいてください!」とのことです。
(なお、岩倉蔓の復興については、榊山牛だけが尽力している訳でなく、広島県の関係者各位・多くの人々が力を合わせて今までに何年もかけて尽力されている事も、明記しておきます。)
これからも、私は「榊山牛のこの先」を追い続けて、
随時に、こちらの記事も情報追加をしていきたい、と思っております。
長い紹介となりましたが、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!!
榊山牛の素晴らしさや可能性に、ワクワクしっぱなしの取材でした。
取材受け入れしてくださった、馬上畜産さま焼肉ふるさとさま榊山牛銘柄推進協議会の皆さまに、この場を借りて御礼を申し上げます!!

———————-

オマケです。
まだ余力がある人は、読んでみてください。
下記は、榊山牛とは直接に関係は無いですが、こういう活動を積み重ねたからこそ、私が榊山牛にも出会えたのだなと思っています。
私が中国地方の和牛に興味を持ちフィールドワークを始めたのが、もう10年以上前の話で。(当時のアウトプットがネット上に残ってない?のが残念ですが)
今では中国地方で随一の牛マニアだと自負していますが、
最近では、インスタなんて便利なツールもあるので、そちらでたまにアウトプットを小出しにしています。
下記に掲載しておきますので、時間に余裕のある時にでも、読んでみてください。
上記の岩倉蔓を始め、広島和牛だけでなく、竹の谷蔓(たけのたにつる)、比婆牛(ひばぎゅう)、見島牛(みしまうし)、無角和種広大鶏(日本鶏)、についてなども、書いております。
併せて、私の知識と体験の飛躍に、多いにご支援ご協力をくださったのは、
広島県畜産課JA全農ひろしまの皆様である事も、
この場に明記しておきます。併せて御礼申し上げます!


 


 


 


 


 


 

ユーチューバーChef Ropia(シェフロピア)さんに、日本の和牛研究がスタートした聖地広島を見学に来ていただきました。
 
コロナ前:2019年に開催した
比婆牛と東広島こい地鶏のレストランイベント(エピュレさんにて)
 ↓↓
https://syokuki.com/archives/34321

2019年に、アルケッチァーノ奥田政行シェフのご協力で開催した、広島和牛の食味分析会。

 
これ以前の活動は、残念ながら、ネット上に特に記録を残していなかったようです。。
まあ、そこは仕方ないので、
過去を振り返るより、未来に向いて新しい記録をどんどん連ねていきますね!

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