比婆牛のサーロイン 黄味おろし掛け ティーファクトリー玄の番茶仕立て
詳しくは後述しますが、絶品でした!食うべき!
こちらの記事で、詳しくは書きましたが、
日本の黒毛和牛のルーツとなる4大蔓牛の1つであり、
日本の黒毛和種の黒育第1号であり、
中四国地方で初めてGI認証され保護すべき国の財産と認められた和牛
「比婆牛(ひばぎゅう)」がいただけるプレミアムなイベント!
が、広島県の主催で、7月26日~8月22日まで、開催されます!
↑これは、広島県内の小学校で教材として配布された広島和牛クリアファイル(広島県食肉事業協同組合連合会さんと広島県による制作。素晴らしいですね!)
小学生のお子さまをお持ちの読者様は、見たことあるかも?
本イベント「比婆牛の魅力探求フェア」の面白いなーと思うところは、
広島県内の10軒の飲食店さんが参加されるのですが、
なんと、
1頭の同じ個体の比婆牛を、10軒が同時に取り扱う、ということ!
これは、食べるの好きな人なら、アンテナにビンビンひっかかるんじゃないでしょうか。
ある程度、食に詳しい人なら、
食材を語る時には「個体差」は避けて通れない、のは理解されていると思います。
例えば、同じ比婆牛でも、あの日の比婆牛とこの日の比婆牛で、違う個体の比婆牛だと、味も異なる、という事です。
今回は、同じ比婆牛を、
部位別に、
料理別に、
味わいましょう、という企画らしく。
何軒か食べて回ってみないと、解からないだろうけど、
どんな経験が自分の中に蓄積されるんだろう?と、ワクワク感が盛り上がってる。
それで、参加の10店舗はどちらのお店かと言いますと、(順不動)
日本料理喜多丘さん
MILLEさん
肉割烹まさ㐂さん
会席料理 豆匠 広島本店さん
レストランbeさん
ナカドさん
ラセッテ広瀬北町本店さん
フィーヌブーシュさん
ホテル宮島別荘さん(宿泊無しでもランチの立ち寄り利用可)
ル・トリスケルさん
の10店舗。(リンクをタップすると、私の過去の訪問レポート記事に飛びます)
そして、それぞれのお店が扱われる部位は、
ざっくりですが、上記の画像に書き込んでみました。(ざっくり説明なので、それ以外の部位が出てくる可能性もあります)
(ちなみに、どのお店がどの部位を担当されるかはランダムに決められたみたいです。)
どのお店がどんな料理に仕立てるんだろう?と、いろいろと味わいを想像してしまって楽しいのですが、
頭であれこれ考えるよりも、実際に食いに行ってみるべえ!と、
まずは肉割烹まさ㐂さんにやって来たのでした。
広島市南区段原にある「肉割烹まさ㐂(まさき)」さんを訪れました。
駐車場はありませんが、すぐ近くにコインパーキングがあります。
ランチでは比婆牛は提供されておらず、
ディナーでのみ、比婆牛入りのコースを提供されています。
(肉割烹まさ㐂さんの過去のランチレポートはこちら)
ディナーは3種のコースがあり、今回は一番上のコースをお願いしました。
前菜盛り合わせ
広島牛のタデ味噌焼き
イチヂクの白和えの黒毛和牛ブレザオラ包み
牛ミノとレンコンの緑酢かけ
トウモロコシのカステラ
枝豆の葛豆腐
トマト密煮 青瓜雷干し
すだちトマト流しスイカ風
ビールよりは、どちらかというと日本酒や泡ワインを呼ぶ料理かな。
ほおずきに見立てたトマトや、すだちのミニスイカがカワイイ。夏らしい。
特にブレザオラが、発酵された和牛の美味しさという側面を見せてくれて、面白かったです。
元就牛リブロースのおくらとろろ掛け
ここからのお料理四連発がすごかった!
「肉割烹の本気」が出てて、「来て良かった」と思えるようなお料理群でした。
ちなみに元就牛について、超ざっくり書くと、比婆や神石の血を引いた牛で、なんと毛利家ご公認の広島和牛となります!それで「元就」という名前なんだね~!
(もーちょい詳しく書くと、なので「元就で比婆牛」とか「元就で神石牛」とかが成立する訳です。豆知識~)
おくらとろろを掘ると、薄切りレアのリブロースが出てきて、
最初、ウニとの組み合わせで「はいはい、よくあるやつね」と思ってしまった。
しかし、その下から、なんとハモ!
ハモと和牛とウニ。
山のモノと海のモノ。合うんかな?
と思いながら、ハモと元就牛を一緒に口に入れて咀嚼してみると!
おおー!なんだ、これは!
アリだ。
ハモと元就牛が口の中でマリアージュして、
今まであまり味わったことのないような、新しい味わいでした。
ほほー、珍しい!
味わい的には、日本酒が断然合うと思います。そういう意味でも、こちらは和食店の範疇ですね。
牛肉を多用されていますが、ベースとしては和食店で、和出汁を使われているからでしょうね。
日本酒は、広島の地酒と、全国の銘酒が揃っていました。
侍ビーフ元就のミスジと蒸しアワビの肝あんかけ
広島和牛の世界は、けっこう複雑でして、さまざまなブランド・カテゴリ分けが存在しています。
「元就」と「侍ビーフ元就」も同じ元就牛でも微妙に異なってまして、
これも超ざっくり言うと、元就牛の中でもハイグレード元就牛だけが「侍ビーフ」を冠する事ができる、と覚えておけばOKです。
(専門的に言うと、BMS3以上が通常の元就牛で、BMS7以上が侍ビーフを名乗れます)
そんで、この侍ビーフ元就とアワビの肝あんかけが凄かった!
先のハモに続いて、
こちらのお店は「和牛と魚介の組み合わせ」にめっちゃ意欲的にチャレンジされてるなーと思いました。
文章で書くと簡単な印象ですが、
これって、かなりバランス調整が難しい料理だと思います。
「とりあえず、牛と魚介を一緒に入れとけ」ではなくて、「料理として調和させる」という所まで持っていかれてるので。
しかも、既存の日本料理の伝統だと、獣肉と魚介を一緒くたにするって文化が基本的に無いので。
しかし、ミシュラン一つ星のこちらのスペイン料理店さんの例のように、
海外には、むしろ「山のモノと海のモノを組み合わせる」って文化もあるので、全然間違っていない!
そしてそれを、日本料理の土俵、で成功させてるところが、めちゃ凄いな、と感心したのでした。
ちなみに、今までも、サンマ、アマダイ、タラ白子、あん肝、タコ、伊勢海老、など、
様々な魚介と和牛の組み合わせの試作を思考錯誤され続けてきたそうです。へぇ~!!
そういった研鑽の積み重ねが、お料理の完成度に繋がってるんですね。
そして今回訪問の理由、比婆牛のサーロイン 黄味おろし掛け ティーファクトリー玄の番茶仕立てです。
比婆牛は、日本全体でも月に3頭程度しか出荷されない牛で、そもそも個体数が少ないので、
全てが比婆牛尽くしというのは現実的に難しいので、
広島牛や元就牛などの広島和牛と一緒にしたコース構成となっています。
コースの中で、比婆牛が供されるのは一皿だけ、というのが、比婆牛の希少さ・貴重さを感じさせられざるを得ないっすね。
(なので、飲食店さんが卸しさんに「比婆牛を仕入れたいんだけど」と言っても、簡単に仕入れられない現実があります。)
この日の目玉だけあって、お料理される一連の姿を動画で載せさせて頂き、インスタグラムに載せました!
大将の流れるような機敏な動きは必見!ぜひ見てみてください!
見ていただければ解かるのですが、
このお料理は「提供してから刻一刻と味わいが変わっていく料理」なので、超速で写真撮って食べました!美味かった~!!
ネタバレになるんですが、
東広島のおばあちゃん手作りの梅干と、世羅のティーファクトリー玄さんの番茶を合わせて、それでしゃぶしゃぶ。
卵の黄身を混ぜた大根おろしを添えて。
映画や小説だとネタバレすると怒られますが、
この料理に関しては、こう書いても、食べてみないと味の想像が付かないはず!
前回の記事でも書きましたが、私は比婆牛の味の特徴って「広島の軟水みたいにアッサリした牛肉」だと思っていて、
まさ㐂大将にも比婆牛の印象をお聞きしたところ、
「スッキリとした味わい。
脂がむつこくないので、もたれない。
なので、量も食べられるお肉だと思いました。」とのご感想。
その方向性を助長する方向に持っていかれた、夏らしいサッパリとしたお料理だと思いました。なるほど~!!
前も書きましたが、私は「旨味が強い」「脂が強い」ければ最上、とは思ってなくて、
適材適所というか、
特に、こちらのお店のように、コース通して和牛が供され続けるようなケースだと、特に顕著に、
比婆牛の良さが際立って伝わるな、と思いました。
ちなみに、今まで色んな料理人さんに比婆牛について聞いてて、
良く言う人は「スッキリした味わい。あっさりしている」とおっしゃるし、
逆の人は「旨味やコクが足りない。他の和牛の方が旨味やコクでは勝っている」とおっしゃるケースが多くて、
でも、これは実は表現が異なるだけでイコールだと捉えています。
その料理人さんが頭の中で思い描く「自分の献立」の材料として、その献立の材料たり得るかどうか、なのだと思う。
良し悪しじゃなくて、適不適。
旨味やコクが足りないと言われた料理人さんも、アッサリした和牛料理の献立を必要とする時には、比婆牛を求めたくなるはずでしょう。
そんで、アッサリしている、のと、「味が無い」のは違います。
このお料理を食べると、
「アッサリしているけれども、味わい深い」というのが、よく解かる!
今まで、私は、レストラン系のお料理や、ステーキのようなお料理で比婆牛を食べてきてて、
あるいはしゃぶしゃぶ系でも、水や、あるいは昆布や野菜出汁だけだったんだけど、
番茶と梅干で仕立てたからこそか、
比婆牛の「アッサリした中にある、味わい深さ」をシッカリ掴めた気がしました。
これは良い体験ができた!
サーロインというと、しゃぶしゃぶにしても、肉によっては脂が強過ぎてウッとなる時あるんですけど、
今回は、サーロインと思えないほどでした。もちろん良い意味で。
広島和牛は過去に「脂の口溶けの良さ」の日本一位記録を樹立してるんですが、
本当に脂のスッとしたキレの良さを感じました。
誤解されそうな表現だけど、赤身肉を食べているような印象でした。
これからの時代、こういうお肉の需要がすごく高まりそうな気がするんだけど。
このあとの、広島牛のヒレ肉の道明寺揚げ ピーマンすり流しも、非常に良かった。
「素材そのままで勝負!」系じゃなくて、ちゃんと「料理としての完成度が高い」のがすごい。
これも、ピーマンのすり流しが夏らしくて良かったし、
見た目からは「堅そう」と思えた揚げた牛ヒレは、なんと箸でちぎれる柔らかさで。
とにかく、一皿の中の調和、バランス感が絶妙に良いんですよねえ。
まさに、肉割烹。
ちゃんと店名の冠に沿った説得力があると思いました。
コースの中でのメインディッシュとなる、侍ビーフ元就のイチボ 辛子醤油焼き
こうやって目の前で、塊のお肉から切り出されると、
テンション爆上がりっすね!
インスタ映えするし、スマホで激写タイムだと思います。
堂々のメインディッシュであり、王道である、炭火焼ステーキですね。
これは、メインらしく、先に述べた「素材そのままで勝負」系となります。
先の四連発のお料理に対して、シンプルさが際立ちます。
他店のコースで、これがメインに供されると、おおっ!凄いっ!となるでしょうね~!
なるほど、侍ビーフを関するハイグレードの元就牛の、素の良さを伝えるスーパーステーキでした。
写真で伝わると思うんですが、薄皮一枚をコンガリ焼き上げた火入れがバッチシ!
正直これで炊き立ての白ご飯を片手にオンザライスして食ったら、もうこれで完了で良いくらいの堂々のメインディッシュでした。
広島牛スネ肉とトウガンの胡麻酢ゼリー寄せ
あらためて、すごいなーと思わされるのは、
コース通して、ずっと和牛を食べ続けているのに、
ちゃんとコースを完走できたこと。
以前に、洋食系のお店で、和牛尽くしコースを食べたことがあるんですが、
その時は後半でウップとなって完走が苦しかった想い出があります。
このゼリー寄せも酸味を上手く使ってあって、
他のお料理もそうですが、コース全体を俯瞰して見て組み立ててあるなぁと。
そういう意味で、比婆牛の使い方も、とても上手いと思ったし。
みんな大好きな肉寿司で〆です。
右が広島牛のコウネ、
左が侍ビーフ元就のミスジ トリュフ乗せ
コウネの歯ごたえが、シャリと一緒にもぐもぐして楽しかったし、
トリュフ乗せのほうは、誰もが「うまっ!」と口に出してしまう美味しさ!
赤出汁も和牛の脂の切るのに良かったです。
デザートは、北広島町のミルクジェラート、黒糖わらびもち、広島産のスイカ
まじで、これだけ和牛尽くしコースを、ちゃんと完走して満足度も高いって、すごいと思う。
今まで、和食というと魚介メインでお肉ちょこっと、というのが一般的で、
お肉を食べたい時は、焼肉かステーキ、それかレストラン、という選択肢だったのですが、
歳を取ってくると、お肉を食べたくても焼肉や洋食系だとしんどい、となる時あると思うのですが、
なるほど、お肉をしっかり食べたい。でもアッサリいきたい、って時に、
和食の方程式でお肉をいただく。つまり、肉割烹。
ってアリだな、と思いました。
なーるほどなァー。
いやー、ランチしか来たこと無かったのですが、夜に来て良かったです。
お店の本質がよく理解できました。
お薦め店です!ぜひ訪れてみてください!
比婆牛は今だけよ!
最後、まさ㐂さんの「比婆牛の魅力探求フェア」コースのメニュー。
上から下に、11000円、8800円、6600円のコース。
全部のコースで比婆牛は味わえます。
また他のお店で、他の部位、違う調理法で、比婆牛を味わって、レポしてみたいと思っています。
皆さんも、ぜひこの機会に「比婆牛の魅力探求フェア」に参加してみてください!
※追記:食後に、広島県へのアンケート協力があります。和牛好きな人・広島和牛好きな人・肉好きさん・グルメさん、ぜひこの機会にご自身の考えや思いを自由記入で書きまくってください。私達の意見が県に吸い上げられて、今後の広島の食文化を盛り立てるのに繋がるはず!です。特にコロナ禍で疲弊した飲食店さんや生産者さん達の為にも、こういう機会に発言すべきだと考えています。
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肉割烹まさ㐂
広島市南区段原1-6-9 定休日:日曜、第3月曜
営業時間 12:00~14:00 18:00~22:00
https://www.nikukappoumasaki.com/